【再掲】タイトル不明
〜序章〜
「今日死ぬくらいなら昨日死にたかった」
《犬山薫(いぬやま かおる)》と《猿渡涯介(さるわたり がいすけ)》は文字通り犬猿の仲ということはなく、犬山は猿渡を信用しており、猿渡は犬山を信頼していた。
信じて用いるのと、信じて頼るのとではやはり若干の相違があって、犬山:猿渡=6.5:3.5くらいの割合で少々の高低差が存在していたものの、二人は傍目から見てもかなりの『仲良し』だった。
夏休みのある日、犬山が死んだ。殺された。
――誰に?
そんなものは《雉原絵里(きじはら えり)》の仕業に決まっている。
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