【再掲】俺の彼女は白濁姫。
口の中に広がる濃厚な甘味は、確かに母親の味に間違いなかった。
俺はとっさに乳首から舌を離し、仰向けで喘いでいる彼女を顔を見たが、「ん、どうしたの? やめないでよ」という甘美な誘いに逆らえず、すぐに行為を再開する。どうやら彼女は気付いていないらしい。
少量ながらも、相変わらず溢れ続ける母乳を味わいながら、ふと思う。これは熟考に値する出来事であると。
つまり彼女は母となったに違いないのだ。母。子供を育てる存在。精子と卵子の出会いによってもたらされる生殖行為。
「赤ちゃんはどこからくるの?」という問いに対する答えは「女性のお腹の中から」である。コウノトリは人間の赤ん坊を抱えて飛べるほどの筋力を持たない。
歯で引っかくようにして乳首を刺激すると、彼女はひときわ強い嬌声をあげ、と同時に口の中のミルクの量も倍増した。
おいおい、そろそろ気付くだろうという俺の思いをあっさりと裏切り、彼女は熱い吐息を吐きながら天井を仰ぐ。いや、あるいは既に気付いているのかもしれない。俺の反応待ちということだとしたら随分としたたかな女だ。
普段は飲ませてるのに今日はこっちが飲んでばかりだななどと思いながら、俺は思考を続ける。
要するに彼女は出来ちゃったわけだ。誰の子かはしらないが、できれば俺の子であって欲しくはない。普段からドバドバ中出ししておいてなんだが、この歳でもう結婚というのはいただけない。まだ19歳、せめてあと1年は女を選ばせてほしい。
けどまぁ、俺の子供なんだろうな。もしかしたらこの女が浮気をしていて、その相手との子供なのかもしれないけど、でもやっぱり俺っぽいな。つうか俺でいいや。おろさせればいいだけだし。
ふと気付くと俺は腰を振っていた。何十回もやり慣れただけあって、考え事をしながらでも最後までイケるわけだ。慣例化してしまっているというか、分かりやすく言えば飽きていた。耳朶に響く女の喘ぎ声も、よくよく考えるともう興奮の対象から外れている。やかましいやかましい、もうここまでくると害虫の羽音と大して変わらない。
そろそろ絶頂に達するという状況で、俺の心は既に冷め切っていた。何故セックスには、子供が出来るなんていうデメリットがつきまとってるんだろう。ダルい。ダル過ぎる。
俺はイク瞬間、それを女の中から引き抜いて、胸の上に精子を撒き散らした。
女は「ふぁ・・・・・・中じゃないの?」と残念そうに嘆きながら、双丘を流れる白い小川を指ですくいとった。そして舐めとる。「あれ?」という感じで首をかしげながら、女は再び白い液体を指ですくって口に含む。
「ねぇ、このせーし、すっごく甘いよ……まるでお母さんのおっぱいみたい」
女はそう言いながらぼろぼろと泣き出して、俺はいよいよ眼前にいる人間が池沼である可能性を考慮しだしたが、
「おかぁさぁん、うう、えぐっ……私も天国に行ったら、絶対会いにいくからねぇ……う、うえぇん」
この瞬間、俺は親の偉大さと自分のちっぽけさを思い知った。
そして俺らは結婚し、幸せな家庭を築いた。
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